黒のBX-300を修理するのは何台目かな・・・多分、片手以上は直していると思う・・・
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天板に黄色いテープで貼り付けてあるのは正面左のナショナルのロゴです。

この黒いプラスチックボディは自分の好みなんだよね。
ついつい買ってしまいます・・・

分解しようとすると、スピーカーの固定ネジがサビて動きません。
どうしようもなく、ネジを切断しました。
脚も先端のゴムは劣化して、カチコチです。
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シャーシやスライド指針の止めネジを固定する基台が、3か所で破損しています。
こりゃ大変な修理になりそうだ・・・
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真空管は、12BE6・12BA6・12AV6・30A5・35W4の標準的なトランスレス5球スーパーです。
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テスターで調べると、ヒーターはどれも切れていません。
しかし・・・実は30A5は後に苦労の種になりました・・・
シャーシ裏は、一見、大きな問題はなさそうです。
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問題なさそうなので、電源を入れて各電圧を調べます。
ところが、スイッチを入れても真空管もランプも点灯しません。
ヒーターのつながりを追っていったら、ヒーター安定抵抗の3W50Ω(上の写真の中央の赤い抵抗)が断線していました。
この抵抗はスイッチオン時の過電流によるヒーター損傷を防ぐために、ヒーターと直列に入っています。
なぜ入れるかというと、ヒーターの抵抗値は低温時は小さくて電流が多く流れ、熱上昇とともに抵抗値は大きくなり電流も減って、一定時間(基本11秒後)たつとトランスレス管共通の150mAになり安定します。
ですからスイッチを入れた瞬間はパイロットランプが明るく光り、その後に暗くなり、やがて本来の明るさで安定するのですね。ただ、50Ω純抵抗で150mAも流したら、7.5Vも下がり、約1Wも発熱しますが・・・
この抵抗を5Wのセメント抵抗に替えました。
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もう一度も電源を入れます。
おおお、無事、真空管もランプも点灯しました。
しかし、何分待ってもウンともスンとも言わない・・・
スピーカーか出力トランスの切れ????

でも、テスターではスピーカーは導通があります。
出力トランスも切れていません・・・
出力トランスには105Vの+B高電圧は来ています。
あれ??? しかし出力トランスの上下とも電圧が変わりません。
つまり、30A5にプレート電流が流れていないようです・・・

30A5周りを調べます。
プレートには電圧がきています。
しかし、0Vのはずのカソード電圧が+2Vあります。
これは前段のペーパーコンデンサの漏れです。
0.01μFのペーパーコンを新しいフィルムコンに取り換えます。
とは言っても、これは30A5のプレート電流の流れないこととは違います。
おかしい・・・どこかの接触不良かな?????
ダイアル糸を新しくかけ直し、すべての真空管ソケットに接点復活剤をつけ、スイッチの接触部分にオイルをさしました。

あらためて電源を入れます。
ブブブーッとハム雑音が出始めました。
ちょっと安心・・・
でもハム音がやたらにでかいので、元の電解コンの平滑作用がかなり劣化しているようです。
新しく電解コンを並列に抱かせました。
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これでOKと思いきや、元の電解コンが熱い!!!!!!  ヤバい!!!!!
このままですと、元の電解コンがパンクします。

経験上、こういう立型の電解コンのパンクはなかなかのものです。
ボッと爆発音がして、封入口のゴムを吹き飛ばし、白い煙を吐いて、中身をまき散らします!!!!!
かつて、そういう緊迫のはずの場面になった時、自分は笑うことしかできなかったっけ・・・・HAHAHA・・・・・(まだ中学生だったかな)

元の電解コンを捨て、平滑用に2個、30A5のバイアス用に1個の電解コンを入れました。
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ここで電源オン!!!!!
おや????  平滑コンを換えたのに、酷いハム音がなくなりません。
ハム音を拾いそうな部品を総点検しました。
どの部品も異常なし・・・
と、なると・・・この原因はあれしかない!!!

この酷いハム音は今まで数回経験したことがあります。
出力管、特に30A5に多く見られるヒーターとカソードの干渉です。
さっそく30A5を交換したら、即、ハム音はなくなりました・・・・
(先ほどの電流が流れなかったのも30A5が原因でしょう)

これらの部品の交換で、あと十年は使えるね!!!!!
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全く、狭い場所に部品が並んでいます。
横に動くダイアル指示棒にぶつからないように、部品を抑えるのが難しい・・・
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次はスピーカーの修理です。
下部と左サイドの円周部が破れ、音量を上げるとこれがシャリシャリと雑音を出しています。
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コーン紙の破れが変なめくれ方をしていて、結構聴こえる変な音を出すのです。
交換できるスピーカーも手持ちにないので、接着剤で破れを補強することにします。
スピーカーの専門家からは叱られそうですが・・・・
何と糊で破れを補強しました。
ボンドよりも柔らかいので、大丈夫でしょ・・・
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雑な接着に見えますが、スピーカーはちゃんと使えるようになりましたよ。
シャーシはこれでOKです。
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次はキャビネットを修理します。
各パーツは揃ってはいますが、結構汚れています。
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正面の板をベージュで、銀モールはクロムで再塗装しました。
正面板は布張なので、塗装してもあまり変わりません・・・・
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実は今回の修理の中で一番苦労したのが、三か所の壊れた止めネジの基台の修理です。
割れたり、欠けたりした台座をエポキシで作り直します。
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脚の先はゴムブッシュを付けました。
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キャビネットを組み立てます。
なかなかきれいになりました。
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ベタベタしていた4つのツマミは、洗剤原液に一日漬けておきました。

シャーシをキャビネットに合体させます。
完成です。
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バーアンテナを持っているので、感度が非常に高いです。
さらにアンテナ線を張ると、ちょっとした通信機並に短波が聴こえます。
音量もあり、ボリウムのガリもなく、昭和最盛期の真空管ラジオの性能にはあらためて驚かされました。