前回に引き続き、依頼のあった外部入力とACコンセントの増設をします。
依頼者のN様から、入力トランスのST-14とステレオミニジャックを提供していただきました。
ありがたくいただきます。
なにしろ、ネットで探して手に入れるのも大変だし、見つけても値段は高いし・・・
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これならステレオ入力にできますね!!!!

ここで外部入力増設の注意点を!!!!
大切なことは、ジャックのアース部分がシャーシのアース部分と触れ合わないようにすることです。
この真空管ステレオはトランスレスなので、シャーシのアースはAC100Vの片側につながっています。
ジャックの取り付けをアルミ板に直接つけると、入力のアース側にAC100Vがかかることになります。
そのままスマホや他の機器の出力をとりつけると、危険が伴います!!!!

ジャックのアースをシャーシから浮かすために、プラ板でジャックを固定し、そのプラ板をアルミ板にネジ留めすることにします。
アルミ板はシャーシの背面に固定できるように、2mm厚で縦長のアルミ板にしました。
その上に入力トランスを二個、ジャック、スイッチ、抵抗二個を、二枚のラグ板でまとめます。
ステレオなのでスイッチは2回路2接点です。
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写真のように、ジャックのアース(口の部分)をアルミ板から分離させました。
(この加工が大変でした・・・)

配線の取り出しはシールド線を使います。
シールド線は買うとメートル当たりの単価がメチャ高いので、リサイクル屋でピンジャック接続コードを買ってきました。
わずか100円です。
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皮をむくと、編組銅線によるかなり高級なシールド線です。
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これならたくさん使えます!!!!

セレクタからプリアンプ部に入るシールド線をはずし、スイッチまで延長します。
中継のために、ラグ板を増設しました。
(最近はラグ板も高い!!!!)
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入力はシャーシの背面に取りつけました。
取り付けられる場所がここしかありませんでした。
かなり入り組んでいますね・・・
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次はAC100Vのコンセントを作ります。
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幸い、四角いメクラ穴があったので、それを利用することにします。
ただし、その穴を通っている配線があり、ハンダ付けのし直しが面倒でした・・・
邪魔な配線をはずして、コンセントをはめると・・・穴が大きい・・・
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でも、このくらいならなんとかなりそうです。
裏からアルミ板を足して固定しました。
外部入力とコンセントの増設が無事終了しました。
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次は実際にどう聴こえるか?????
小さいスピーカーで、すべての動作が正常なことを確認します。
OKです。

大型スピーカーにつないで、音響機器として聴いてみます。
信号はMP3プレーヤーから音楽を取り入れます。
スピーカーはアルテックにつなぎました。
ただし、この真空管ステレオ装置の出力インピーダンスが 8Ω かどうかは不明です。
そのため、本来のスピーカーシステムとは多少の音質の違いが出ると思われます。
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トーンは低音・高音ともつまみは「中央」にしています。
ハム雑音は少ないです。
パワーはものすごくあります。
でも・・・ ううん・・・ 中低音が出過ぎ・・・
さらに高い音はキンキンと響く感じ・・・
女声歌手の声は小さくはないのに、バックに埋もれてしまって、遠くで歌っている感じ・・・
何だろ、このバランスの悪さ・・・
「ひょっとすると???」
トーンを中央でなく、戻し切った位置にします。
あらら、これなら聴けます。
トーンは高音・低音の上げ下げでなく、高域増強・低域増強(または高域減衰・低域減衰)によるコントロールのようです。
つまり、つまみを戻し切った0位置が「補正無し」らしい・・・

アルテックをやめ、自作の友様改造のヤマハNS-1000改で聴いてみます。
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こちらの方が自然な音に聴こえます。
特に女声のソプラノが上に抜けてきれいです。
なかなか相性がよさそうです。

MPXを接続して、FMステレオを聴いてみます。
おお??? 
外部アンテナをつけていないのに、バーアンテナだけでしっかり受信しています。
期待は全くしていなかったので、これは意外な高性能です。
今まで真空管のFM受信というと、しっかりとした外部アンテナが絶対条件でした。
これも前回のMPXなしではあまり受信できなかったのに・・・ このMPXはかなり高性能のようです。

ここまではうまくいったのですが、しばらくするとピチッ、ピチッ、と雑音が入り始めました。
こういう時間がたって始まる雑音は真空管周りが原因の可能性があります。
ヤバイと思い、考えられることからチェックします。
音源を外しても止まりません・・・内部からの雑音発生です。
音量ボリウムで変化しません・・・低周波増幅全体に関わります。
左右に差はありません・・・これは不思議・・・電源関係か???

真空管を抜き差しして原因管を探したら、一本の12AX7を一度抜いて差し直したら雑音がピタッと止まりました。(正面から見て右側の12AX7)
先にもう一本の左側の12AX7は、抜いても差し直しても雑音は変化しませんでした。
そして・・・そのあとは二度と雑音は起きていません・・・
可能性としたら、12AX7ソケットの接触不良???
低周波増幅段は基板にシールド鉄板が被せてあって、他の原因を調べるのはちょっと無理そうだし。

たぶん、こんな雑音発生は二度とないと思われますが、もし起きたら12AX7の劣化かもしれません。
Nさん、連絡をいただければ替えの12AX7を送ります。

今回の修理と改造はこれで終了です。
何か質問やご意見がありましたら、何なりとどうぞ!!!