またまた大阪音響社の製品です。五球スーパーラジオOS-12を修理します。

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トランスレス、MT管、MW・SWの2バンド、左スピーカー、右ダイアル・・・ この辺は標準です。
しかし、縦に移動する指針、MW・SWの切り替えと選局がダブルのツマミになっているのが目新しいデザインです。
また、音量兼用スイッチツマミが右側面にあり、イヤホンを使うときは右側面のスライドスイッチでスピーカーを消音できるようになっています。

シャープ社の普及品のように、シャーシを立てて真空管を横置きに使っています。
しかし横向きの真空管を支える金具がありません。
多くの会社は出力管と整流菅は金具で押さえているのですが・・・・・
バーアンテナを使用していて感度が良いはずですが、アンテナ線も一応ついています。
まさにトランジスタへの移行期の製品です。

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裏板は誰かの自作です。
内部は見ての通り、半分以上が空っぽ・・・・・・・
小型化をねらったシャーシの縦置き、部品の高密度配置ではないのか?  と、オンキョー社の人に聞いてみたい・・・・・

ボディからシャーシを取り出します。
さらにボディを分解します。
これが苦労でした・・・・・・
このラジオは透明プラスチックの前面がボディに接着されています。
これをていねいにはずすにはコツコツと先の細いドライバーを当てて、1時間はかかります・・・・・ 

ところが前修理者が・・・・・・ 
はまっている透明プラの凸部を強くたたいてはずし、修理後は瞬間接着剤でくっつけてあります・・・・
ビニル系やゴム系の接着剤なら接着面をはずせるのですが、瞬間接着剤は強力すぎて周囲を割らないとはずれない・・・・・
結局、接着部をはずすためにあちこち凸部の周囲に小さい割れを作ることになりました。
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ボディの修理をします。
前修理者がかなりいじっています。
前面の白は塗装、ボディの黒い部分はクリアラッカーが塗ってあります。
このクリア塗装が経年変化か、べたべたしているので思い切ってシンナーですべて落としました。
このボディはシンナーには強いです。
白もムラが目立つので、ミルキーホワイトで塗りなおしました。
ランプ穴はテープで塞がっていたので戻しました。

当方は別に前修理者をディスっているのではありませんので、お間違いなく・・・・・・
当方は商売でやっているのであり、お客様からの評判が一番怖いわけです。
売るためには、性能以上に外見がきわめて大事だ、というのにはどうぞご理解を・・・

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シャーシの修理をします。
スピーカー、出力トランス、ランプ、ACコードは生きています。
まず問題点は、ボリウムがバカになっていることです。
さらにイヤホン用のスピーカー消音スイッチが破損しているため、前修理者が直にハンダ付けしています。
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ここに新しいスイッチ付き500kΩボリウムとスライドスイッチをつけます。

ここからが・・・・・・ 手間がかかりました・・・・・・ 全くオンキョーという会社は何を考えてんだ・・・・・
標準品かと思っていたボリウムもスライドスイッチも、特有の形状で、標準品が合いません。
しかも特殊な位置でのサブ金具による固定で、でかい図体なのになんでこんなに密に作るのだよ、と文句を言いたくなります。
部品を加工して合わせるのにどえらい苦労しました。

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やっと固定できました。スライドスイッチはやむなく金属用接着剤を使いました。

ダイアル糸を張り直しました。
電解コンデンサは160V47μFと22μFを付け加えました。隙間がないのできつい・・・・・
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出力管30A5のグリッド電圧は0Vで正常です。

先日、雑音のクレームのあったラジオは、戻ってきたものを測ると出力管のグリッドがプラス2Vでした。
前段との結合コンデンサの絶縁不足でプレート電圧がもれていたのです。
プラス2V程度だったので、出力管はカソード電圧と差引マイナス3V程度で普通に働いていたわけで、正常だと思い気づきませんでした。
0.01μFを交換して直りましたが、これからは必ずグリッド電圧を測ることにしました。
「当たり前だろ、恥ずかしい、素人かよ」と怒られそうです・・・・・・

無事、受信できました。
周波数調整は必要ありません。
ボディのスピーカー背部に空間がある分、音は良いかも・・・・・ オンキョー社への皮肉・・・・

完成です。
正面左上のエンブレムがないので、作ってみました。
ないよりはましでしょう!!!!!
裏板はそのうちに作る予定です。
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